膵嚢胞の症状

病気の病因が多様であること、嚢胞の大きさや数、発生部位（膵臓の頭部、体部、尾部）が異なることなどにより、膵臓嚢胞の症状は非常に多様です。

先天性嚢胞、停留性嚢胞、時には偽性嚢胞や外傷性嚢胞は、しばらくの間、無症状の場合があります。場合によっては、患者を注意深く問診した後にのみ、過去に急性膵炎または腹部外傷を患っていたことが判明し、医師がそのような患者の膵臓のより詳細な検査を行うよう警告されます。 膵臓の嚢胞は、定期検査中、腹部の超音波検査中（近年、患者に無害で情報量が多いため、機器による検査方法の中で最も優れている）またはCT検査中に偶然発見されることがあります。 場合によっては、放射線科医が上部消化管の造影検査中に、膵臓の領域にある何らかの形成物によって胃または横行結腸が変位していることに気付きます。

時には、徐々に大きさが増し、腹部の左半分に位置する「腫れ」または「腫瘍のような形成物」が患者の注意を引き、医師の診察を受けるよう促すことがあります。

しかし、最も頻繁にみられる症状は、消化不良、左季肋部の痛み（しばしば帯状痛）、下痢、喉の渇き、多尿、その他の慢性膵炎の徴候です。特に、飲酒歴や患者の特徴的な外見を考慮すると、その兆候は顕著です。医師はこれらのすべての要因を考慮して検査を指示し、その際に嚢胞が検出されます。

慢性膵炎の症状は多くの場合非常に顕著であり、患者に大きな不安を与えます。

膵嚢胞の経過、合併症

膵嚢胞の病因と形態の多様性のため、その臨床経過には多くのバリエーションがあります。無症状またはほぼ無症状の場合から、重篤な症状、持続的でほぼ絶え間ない激痛、膵臓の外分泌機能不全による消化器疾患の症状、膵島の損傷の結果としての糖尿病の重篤な兆候、著しい体重減少、腸内のすべての消化プロセスとその最終生成物（モノマー：アミノ酸、単糖類、脂肪酸、ビタミンなど）の吸収の阻害による衰弱に至るまで、さまざまなケースがあります。

膵嚢胞の合併症も非常に多様です。比較的よくある合併症の一つは嚢胞が管腔臓器に破裂することです。これは場合によっては、出血、化膿、膵炎の悪化など、さらなる合併症を引き起こす可能性があります。しかし、場合によっては、嚢胞が管腔臓器に破裂することで患者の全身状態が改善することもあります。例えば、痛みが軽減または消失し、嚢胞が大きい場合は、隣接する臓器や周囲の嚢胞、そしてまだ機能している膵臓組織の圧迫症状が解消されます（この圧迫は通常、組織の萎縮と線維化の発症に寄与します）。嚢胞が自由腹腔に破裂すると、腹膜炎を引き起こす可能性があります。膵頭に位置する嚢胞によって総胆管末端部が圧迫されると、胆汁うっ滞や機械的肝下黄疸とそのすべての症状を引き起こす可能性があります。嚢胞の化膿、様々な瘻孔の形成（通常は治癒困難）、出血（消化管への血液流入による大量出血を含む）、重度の鉄欠乏性貧血の発症などが起こることもあります。嚢胞自体への出血も考えられます。膵頭の大きな嚢胞は十二指腸を圧迫し、胃からの内容物の通過を妨げる可能性があります。アメリカを代表する膵臓専門医の一人とされるP.バンクスは、医学文献の報告に基づき、1982年の論文の中で、偽嚢胞の稀ではあるものの、実際に存在する合併症として、脾臓破裂、脾動脈からの出血、偽嚢胞の食道への破裂などを挙げています。

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