口紅や化粧品に含まれるトリクロサンが心臓発作を引き起こす

カリフォルニア大学の米国研究者らによると、家庭用品や化粧品数百品目に含まれる化学物質が心臓疾患を引き起こす可能性があるという。

ここで話題にしているのは、トリクロサンと呼ばれる抗菌剤です。これは、数多くの衛生用品や家庭用化学薬品に含まれています。トリクロサンは、心臓を含む体全体の筋肉が脳からの信号を受け取るプロセスを阻害します。科学者たちは、マウスを使った実験で、トリクロサンにわずか20分間曝露しただけで心臓の機能が25%低下することを発見しました。人体でも同様の影響が見られます。

しかし、多くの国の規制当局や多くの専門家は、様々な製品に含まれるトリクロサンの含有量の安全性に自信を持っています。これは、過去の科学的研究でトリクロサンが甲状腺や不妊症と関連していることが示されているにもかかわらずです。今回、科学者たちは初めて、この物質が筋肉に及ぼす影響について試験を行いました。

トリクロサンはもともと病院における細菌感染症対策のために開発されました。長い間、この物質は体内で速やかに分解され、有害な影響を及ぼさないため、人体に無害であると考えられていました。しかし、アメリカの研究者たちは、トリクロサンが長期間活性を保ち、様々な臓器に運ばれて損傷を引き起こす可能性があることを発見しました。

「私たちの研究結果は、トリクロサンの健康および環境リスクに関する懸念が正当であることを示す説得力のある証拠です」と、研究著者のアイザック・ペサック教授は述べています。「完全に健康な人であれば、心拍出量（一定時間内に心臓から送り出される血液量）が10%減少しても、目立った影響はありません。しかし、既に心血管疾患を患っている人にとっては、そのような減少は非常に深刻な打撃となる可能性があります。」