小児のウイルス性脳炎

ウイルス性脳炎は、主にアルボウイルス属に属する神経向性ウイルスによって引き起こされる、中枢神経系の急性感染症の大きなグループです。アルボウイルス属には、アルファウイルスとフラビウイルスが含まれます。これらはトガウイルス科（Togaviridae）に属します。

アルボウイルスによって引き起こされるウイルス性脳炎は、脳組織の損傷が主な原因であり、それが疾患の本質であるため、一次性脳炎に分類されます。この脳炎は、多くのウイルス性疾患（麻疹、水痘、風疹、インフルエンザ、おたふく風邪、エンテロウイルス感染症など）に伴って発生する二次性ウイルス性脳炎とは区別する必要があります。

アルファウイルスによって引き起こされる最も重篤なヒトの病気は、アメリカ馬脳脊髄炎（東部馬脳脊髄炎、西部馬脳脊髄炎、ベネズエラ馬脳脊髄炎）です。

フラビウイルスは、ダニ媒介性脳炎、セントルイス脳炎、マレーバレー脳炎、日本脳炎、および西ナイル脳炎の原因物質です。

わが国では、ダニ媒介性脳炎と蚊媒介性（日本）脳炎が実用上重要な疾患です。