肥満と2型糖尿病患者におけるクルクミンの抗うつ効果を示す研究結果

Nutrients誌に最近発表された研究で、研究者らはランダム化臨床試験（RCT）を実施し、2型糖尿病（T2DM）を患う肥満患者のうつ病を軽減するクルクミンの有効性を調べました。

2型糖尿病は、膵臓β細胞の機能不全とインスリン作用の低下によって引き起こされる高血糖を特徴とする慢性疾患です。世界的な公衆衛生問題であり、裕福な国々で罹患率が増加しています。

2型糖尿病の患者は、障害を負ったり、労働能力を失ったり、職を失ったりする可能性が高くなります。また、2型糖尿病は、機能障害につながり、治療が必要となる大うつ病性障害（MDD）を発症する可能性も高めます。

2 型糖尿病とうつ病は双方向に共存し、失業、医療処方の不遵守、死亡リスクの増加につながります。

大うつ病性障害（MDD）の主な治療薬である抗うつ薬は、体重増加や心血管代謝の健康状態の悪化を引き起こす可能性があります。ウコンに含まれる主要なクルクミノイドであるクルクミンは、不安やうつ病を軽減する可能性がありますが、これを裏付けるランダム化比較試験は限られています。

この二重盲検プラセボ対照RCTでは、研究者らは、クルクミンの抗酸化作用および抗炎症作用によるセロトニン濃度の上昇に焦点を当て、2型糖尿病を患う肥満患者227名におけるうつ病の軽減に対するクルクミンの効果を評価しました。

研究者らは、過去1年以内に2型糖尿病と診断され、BMI（ボディマス指数）が23kg/m²以上、グリコヘモグロビン（HbA1c）が6.50%未満、空腹時血糖値が110mg/dL未満の35歳以上の個人を対象とした。糖尿病の診断は、2017年米国糖尿病協会（ADA）の基準に基づいて行われた。

1年後、クルクミンを摂取した患者は、うつ病の重症度が有意に減少しました。これは、PHQ-9尺度が20%改善したこと（対照群では2.6%改善）から明らかです。また、プラセボを摂取した患者と比較して、セロトニン濃度が上昇し、IL-1β、IL-6、TNF-α濃度が低下しました。クルクミン抽出物の抗炎症作用は、血清中のセロトニン濃度を上昇させる可能性があります。

この研究では、クルクミンが2型糖尿病を患う肥満患者のうつ病の重症度を軽減するのに効果的かつ安全であることが判明しました。

クルクミンは、セロトニンのレベルを上げ、炎症を抑え、酸化ストレスを減らすことでうつ病を和らげるのに役立つ可能性があります。

しかし、肥満におけるクルクミンの作用機序をより深く理解し、用量反応関係を確立するには、さらなる研究が必要です。今後の研究では、より多様な集団を対象に実施することで、本研究の全体的な結論をより深める必要があります。