孤独は病気の直接的な原因ではないかもしれない

研究者らは、孤独に関連するリスク要因を管理することで長期的な健康成果を改善できる可能性があると述べている。

ネイチャー・ヒューマン・ビヘイビア誌に最近発表された研究で、研究者らは孤独とさまざまな病気のリスクとの関連性が因果関係にあるかどうかを評価した。

孤独とは、社会的な孤立であり、望ましい社会関係と実際の社会的なつながりの間に乖離が生じることを意味します。孤独は、過剰なストレス反応、炎症、抑制されたモチベーションといった複雑な生化学的・行動的メカニズムを引き起こし、全体的な健康状態を悪化させ、様々な疾患に対するリスクを高めます。

医療専門家は孤独を健康リスク要因と見なしていますが、その因果関係は依然として不明です。観察研究では、精神的および身体的疾患のリスク増加、ならびに早期死亡のリスク増加が示されています。しかし、これらの研究のほとんどは特定の疾患に焦点を当てており、孤独と慢性腎臓病などの深刻な疾患との関連性は依然として不明です。

この研究では、研究者らは孤独と複数の疾患を発症するリスクとの関係に関して遺伝的データと観察データが一致するかどうかを評価した。

研究チームは、英国バイオバンクの入院、行動、遺伝子データを用いて、孤独感と様々な健康状態との関連性を特定した。遺伝子データの評価にはメンデルランダム化（MR）法を用いた。孤独感を評価するための質問は、カリフォルニア大学ロサンゼルス校（UCLA）の孤独感尺度から採用した。

47万6100人（平均年齢57歳、女性55%）のうち、5%が孤独感を感じていることを報告しました。孤独感を感じている人は、身体活動が少ない、太りすぎ、教育水準が低い傾向がありました。12年間の追跡調査で、孤独感は精神・行動障害、感染症、呼吸器疾患、神経系疾患など13の疾患カテゴリーのリスク増加と関連していました（ハザード比[aHR] 1.1～1.6）。

孤独は、行動障害や精神疾患、感染症、呼吸器疾患など、様々な健康状態のリスク増加と関連付けられています。しかし、これらの関連性のほとんどは因果関係がなく、孤独は研究対象となった疾患のほとんどにおいて、直接的なリスク要因というよりは、むしろ指標となる可能性を示唆しています。